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               明日から4月が始まる 
                 
                年度末のところも多いから、別の意味で新年のスタートだ。 
                私が今の会社キャステルをスタートさせたのも、今から29年前の4月だった。 
                会社といっても特に実態は無く、私一人のブローカー。 
                名前をキャステルオートサービスと名刺に刷っただけのものだった。 
                 
                勤めていたシーサイドモーターが1980年の2月に倒産し、翌月の3月は殆ど何もせず、ただ日々を過ごしていた。 
                桜が咲くの漫然と眺めながら。 
                その時は、散っていったシーサイドと桜を重ねて見ていたのかもしれない。 
                 
                当時親しかった他の車屋に勤めることも考えたがいわゆる無鉄砲で、一人でどこまで出来るか試してみたい、その気持ちで 
                何処にも勤めなかった。 
                当然収入は売れなければゼロ、一月に一台売れるか売れないか位のペースでなんとか食いつないでいった。 
                それがバブルの始まる1987年くらいまで続く。 
                今考えればよく7年間もやっていけたと思う。 
                 
                時代は今と違い、まだパソコンも普及していず、御用聞きみたいなブローカーでもなんとか存在価値があった時代なのだ。 
                当然自分が売った車の登録から修理、あるいは定期サービスなど一人でなんでもやった。 
                 
                現代。 
                今や情報はどんな些細なことでもパソコンから調べる事が出来る。 
                昔、物知りの人に尋ねるしかなかった事でも、パソコンを開いてインターネットに検索すれば、表面的にはどんなことでも 
                判る気がする。 
                 
                今、30才台くらいの企業家を目指す若者、あまりにも情報が溢れすぎていて なにを目指せばよいのか、 
                あるいはもう既に誰かが同じ事をやっているのではないか?不安で自信が持てないだろう。 
                 
                私の時代はたった6年間のシーサイドに在籍した経験で、一人前の車屋としての自信?が持てた。 
                そう、時代は急速に変化する物なのだ。 
                但し、いつまでも変わらないものもある。それは人の気持ちだ。 
                 
                ついこの間もお客様にメールでおしかりを受けた。修理の時間が遅いと。 
                原因はこちらからの連絡が電話ではなくいつもメールだったからだ。 
                手書きの文書ならともかく、このメールというもの、便利なようで人の感情をスポイルする危険な存在だ。 
                 
                会話なら言葉尻、イントネーションで少しは気持ちがつたえられる。 
                勿論一番良いのが実際に相手に会って、話をするのが一番なのだが。 
                ところが私も含めてつい便利な方を選んでしまう。 
                その後、私が直にお客様と話をしてこちらの不手際を詫び、事なきを得たが。 
                 
                ここまで読んできて、賢い人なら何らかのヒントが見えたはず。人とのつながり方、商売の方向性、そう、基本、原点を 
                見つめなおす、と言うことだ。 
                 
                メールを極力少なくして、電話で相手と話す、一番良いのは相手に会いに行く、 
                だから私はわざわざ横浜まで足を運んできてくれる相手には、お金の有るなしにかかわらず出来る限り時間をさいて 
                相手をする。 当然車も見せたり、乗せたりもする。 
                 
                これが私の出来るもてなしだ。そして車屋の商売の原点だと思う。 
              2009年3月31日 掲載 
              
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