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                       ■ MIURAP400  400S 400SV 
                         
                        ミウラについて、話を始めると、長いものになる。 
                        それは、良いも悪いも含めて、この車が、もっとも印象深い、車であるからだ。 
                         
                        私(社長 鞍)は、1974年4月にシーサイドモーターに、入社し、現在まで、ありとあらゆるスポーツカーに乗ってきた。 
                        その中で、どれが一番印象的かと尋ねられたら、迷うことなく、このミウラを名指しするだろう。 
                        もう1台はF40だ。 
                         
                        結局、スポーツカーとは、極論すれば大人の遊び道具だ。 
                        その人が金持ちなら、スーパースポーツカーを選ぶ事になる。貧乏人なら、ユーノス ロードスターだ。 
                         
                        このランボルギーニ社は、1960年代にとてつもない、スーパースポーツカーを作り上げた。 
                        それがミウラだ。 
                        はっきりいって、ランボルギーニとは、私にとって、このミウラ、そして LP400までだ。 
                        あとのモデルは、どうでもよい。 なにがス―パーかって、文章、あるいは口で説明するのは、むずかしい。 
                         
                        一番簡単に知る方法は、走らせる事だ。 
                        完璧に、調子の出た、ミウラの助手席、なぜ、助手席かって? 
                        運転するのは、私のようになれたものでないと、ビビッて回せないからだ。 
                        例えば、レースカーに、素人がすぐのれといっても、無理なのと同じだ。 
                        それで、エンジンを始動する。バキュ―ン、バキュ―ン と言い方が悪いが、暴走族の改造車を、20倍良くした音だが、 
                        相当音量はでかい。 
                         
                        フェラーリの355や、モデナの、ノーマルマフラーの5倍以上は有るだろう。 
                        市街地では、ブリッピングを繰り返していると、すぐに苦情がくる。 
                        走らせる道は、できるだけ、空いていることが望ましい。 
                        でないと、車も、人間もフラストレーションが、溜まってしまう。F40も同じだ。 
                         
                        ガレージから、広い道まで、出てきたら、私は2,3回ブリッピングをして、調子を確かめると、一速で3500回転くらいまで、 
                        すっとあげ、そこからアクセレーターを、がばっと、ちゅうちょなく、フルスロットルまで、踏みつける。 
                        そうすると、この、耳の真後ろに横たわる、V12エンジンは、カゥオーと雄たけびをあげて、レッドゾーンめがけて、すさま 
                        じい (と横に乗った人は間違いなく感じる。)加速を始めるのだ。これにくらべたら、F40の加速は、まだ上品だ。 
                        なにしろ音が凄いのだ。 
                         
                        それも、ただ、マフラーをストレートに、しただけの、安っぽい音ではなく、メカニカルな、カムチェーンの音、トリプルチョー 
                        ク、ダウンドラフトの、ウェーバーキヤブ、(こんなもの、そろそろ博物館に入るんじゃないか?)6連装の物凄い吸気音、 
                        《当社ではエアークリーナー外すから、ファンネルだ。)これらが、ミックスされて、だれもが、ミウラの奏でる、シンフォニー 
                        に酔いしれることになる。 
                         
                        当社のデモコースの、場合、港未来から、首都高速に入り、トンネルを走りながら、窓を開けて、サウンドを堪能して、 
                        コーナリングを、楽しみ?《車高が低いので、地面すれすれに、走っているようだ・。 
                        目線はセルシオのバンパーくらいか)ベイブリッジを抜けて、大黒PAで、お茶を一杯、となる。 
                         
                        そこで、コーヒー缶を飲みながら、眺める、ミウラのスタイルの良さ。これが2番目のスーパーな部分だ。 
                        私はデイノのデザインも、大好きで、毎日見ていても、飽きないのだが、ミウラは、もっと泥臭く、スタイルレンダリングその 
                        ままで、作ってしまったように見える、この荒削りなデザイン。 
                        いわば粘土をこねて、陶芸家がこさえたような、その才能のあるデザイナーの芸術的なセンスを垣間見る事ができる 
                        デザインと言って良い。 
                         
                        モデナのデザインには、コンピューターの匂いしか、しない。だから、あきるし、つまらないのだ。 
                        やはりこの車の、ベストビューは、真横のラインだろう。 
                        低い位置からも、高い位置からも、文句のつけようのない、完璧なプロポーションを見せつける。 
                        若い時の、ソフィア ローレンのようだ。そういえば年代的には同じだ。 
                         
                        もちろん、インテリアも、ボデイに、負けず劣らず、挑発的で、魅力がいっぱいだ。 
                        フェラーリと違って、機能より、デザイン優先だから、スイッチなどの使い勝手は悪いが、そんなものは、人間のほうが、 
                        合わせれば良い。 
                         
                        というわけで、この車には、ケチはつけたくない。 
                        細かい所の、未完成な、部分は当然一杯あるけども、それより、なにより、その時代、今から35年も前にこれほどの車を 
                        企画して、それを750台作り上げた、気概に敬意を、払いたい。 
                         
                        そして、この車が、新車で、登録できた、60年代というのは、車にとっても、良い時代だったと、いわざるを得ない。 
                        今なら、安全基準はおろか、排ガスなど、とんでもないと云われるだろう。 
                        なにしろ、アイドリングで眼が痛くて、後ろに立っていられないのだから。 
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